人の命は地球より重い

たまに見掛けるこのフレーズ
実に独善的でエゴにあふれた
人間中心主義的発想の産物である

どうやらこの言葉
出所は
1977年の赤軍派による日航機ハイジャック事件のようだ

事件の折、日本政府は要求通り
死刑囚を含むテロリスト6人を釈放
身代金として600万ドルを払い
替わりに人質を無傷で救出した
そのとき当時の福田首相の答弁に使用されたのがこの言葉なのである

しかし、人の命は地球より重いとは・・・
人を救うためなら地球上の他の生物はいくら犠牲になってもよいということなのだろうか
人の生命はあらゆる他の生命より重いということなのだろうか
そして、地球もひとつの生命体だとする今日この頃
その地球よりも人の命が優先されるべきだというのだろうか

ありえない

人間以外の生命が全て滅んだら人間も生きていけないし
地球が滅んでも誰一人として生き残れないだろう

地球と比べたら
人間一人の命なんて、塵に同じ
とてつもなく軽い
そんなことは自明の理だ
それを重いと言いきれる傲慢さが僕にはわからない

毎日、多くの人が死んでいく・・・
そして、人質は助かった

その600万ドルで何人の人間が飢餓から助かったであろう
逆にその600万ドルを資金にテロリストたちはその後何人の人間を殺すのであろう
日本政府の対応は
まさに、その場しのぎの事勿れ主義、偽善的行動としか僕には見えない

しかし、その後の内閣府政府広報室の
全国20歳以上の者 4,474人を対象にした調査では
64.4%がこの結果を評価しているとのことである

アフリカで部族どうし殺し合いをし、飢餓でたくさんの人間が死んでも
いくらチベットやパレスチナ、ウイグルで血の粛清が行われようと
注目されなければ誰もなんとも思わない

結局、注目された人の命は重くなり
注目されない人の命はゴミ同然なのである

モドル